ユーロ/円相場は、7月24日の94.12円をボトムに、足元では96円水準まで切り返している。欧州債務問題を巡る混乱状況は続いており、2000年11月以来のユーロ安・円高水準を更新した。ただ、ここにきて欧州中央銀行(ECB)などの政策対応に対する期待感が高まっていることで、ユーロ売り・円買いポジションの巻き戻しがやや優勢になっている。
ECBドラギ総裁は、独連銀のバイトマン総裁と近く協議を行うことが明らかになった。詳細は不明であるが、ECBが債券購入を含んだ新たな政策対応を導入するため、独連銀からの支持獲得を狙っている模様だ。欧州金融安定化基金(EFSF)による発行市場での国債購入なども検討されている模様であり、ECBとドイツ連銀が欧州危機の収束に向けて共同戦線を構築できるのかが試されることになる。ドイツ金融当局者からは、国債購入に否定的な発言も聞かれるが、ドラギ総裁は26日に「ユーロ存続のために必要ないかなる措置も取る用意がある」と明言しており、マーケットは政策対応に対する期待感を強めている。マーケットの期待感が維持される間は、ユーロが一時的に買い戻され易い状況になる。引き続き、欧州債市場の動向を注視したい。欧州債利回りの低下傾向にブレーキが掛かるようであれば、再びユーロ安が進むリスクに備えるべきだろう。
8月2日にはECB理事会が控えているが、今会合では利下げなどの大規模な緩和政策は見送られる可能性が高い。マーケットも特に今会合での政策対応は期待していないとみられるが、実際に緩和策が見送られた場合には一時的にユーロ売りが膨らむリスクはある。ドラギ総裁の発言で、マーケットは追加緩和の催促相場の様相を強めているだけに、ECB理事会はユーロに対してポジティブになる可能性は低く、逆にネガティブ効果に注意が必要だろう。
今後1週間の予想レンジは、95.00~97.25円。